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スゲノマロ × A.B.Mimura

源氏物語×和歌×花鳥風月  ゆめ まぼろし

2021年 5月11日(火)~ 5月29日(土)

at  Pain au Sourire (パン・オ・スリール) 東京渋谷

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■ 展示について
福島出身の2人が織りなす展示会。
年のイメージはオリエンタル。テーマは世界最古の文学「源氏物語」。
七百九十五句を数える和歌から十ニ句を選定し、スゲノマロさんの艶やかな世界観で平安文学の魅力にせまります。
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■ 制作ノート
スゲノさんが、「和のテイスト(オリエンタルな雰囲気)で展示をしてみたいです」とおっしゃいました。
「おもしろい題材、推しはありませんか?」と聞かれました。
私は、大学時代、国文学を専攻しておりましたので、「万葉集か源氏物語!」と答えた記憶があります。

大伴家持、紀貫之や江戸川乱歩もいいのですが、スゲノさんが描くにはちょっと地味すぎる。

その流れで、紫式部、源氏物語を語り始めたら止まらなくなり、すんなり、あっさり源氏物語に決まったのでした。

(今思えばここが平安文学沼の始まり)

沼での格闘はまたの機会にさせていただくとして。

源氏物語は全54帖(巻)からなります。100万字、文庫本だと10冊くらいの長編です。

主人公は、イケメンで高スペック細マッチョの平安貴族・光源氏。

その一生と、亡き後の子孫たちの生きざまが「もののあはれ」として描かれた長編小説。

今回の展示では、光源氏の10代の熱い恋愛~生涯を終えるまでの、関係をもった女性たちと交わした和歌での交流を中心に、和歌の総数795首から12首選びました。

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【源氏物語概要】

源氏はちょっと身分の低い更衣という位のお母さんから生まれた天皇の子です。

お母さんは天皇に溺愛されましたが、イジメに会い、それがもとで身体を壊し、若くして亡くなってしまいます。

母のような面影のある父の奥さん(義理の母君:藤壺)を慕い、関係を結んだ上に、子どもができます(冷泉帝)。
かと思えば、一夜の恋愛があったり、敵対する相手の娘(朧月夜)に手を出して謹慎処分で流されたり、自由奔放、一夫多妻を地で行った貴族の御曹司ですが、一度縁があればとことん世話するやさしい心もあったりします。

源氏物語のマンガ「あさきゆめみし」を一読されたことがある方ならこのあたりも詳しいのではないでしょうか。

昼メロ系のドロドロ恋愛なのかと言えば、そうではなく、ちょっと憎めない3人(お笑い担当とも呼ばれる)一途な末摘花の姫君、源典侍(おばあちゃま)、愛嬌ある中将の隠し子・近江の君などがいて、その描写は面白く、総勢430人と言われる登場人物の造形があっぱれなのです。

1,000年以上も前に描かれたこの物語には、さまざまな魅力がつまっています。

当時、源氏に熱狂した貴族の方々、研究者の方々が登場人物の解説本を作ったり、国宝となっている源氏物語絵巻のような絵画として発展したり、貝合わせなどの玩具への進化したりと、ひと言では語れない文化・芸術方面への大きな影響があります。

去年の鬼滅の刃みたいな流行が、作者の紫式部没後もジワジワ1,000年以上続いているという感じでしょうか、、

このような、魅力のつまった「源氏物語」、平安文学の世界に、スゲノマロさんの深みのある絵をはじめの一歩として、踏み入れる機会になればうれしいです。

弘徽殿の女御のいじわるさが好き!
生霊になるくらい愛情深い六条が好き!
葵のツンデレっぷりがたまらない! など、など

マスクなしでいつか、源氏好きな方々とお話できる日が来ればと願います。

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■プロフィール

sugenomaro スゲノマロ/画家、イラストレーター

1982年福島県生まれ。福島、東京を中心に展示会を開催。

漆黒ドローイング、イビツなハリ絵、極彩色テキスタイル 。ニッチな雑貨、ナンセンス絵本。

https://www.sugenomaro.com/


A.B.Mimura ミムラアキコ/企画・編集・執筆

福島県生まれ。出版社を経て、販促物企画・制作、機関誌編集に携わる。2018年3月、絵本『きいろいくものすのおはなし』を発表後、画家sugenomaroと出会い、紙媒体での制作を続ける。

共著に絵本『てふ ひらり はたり』、短編『白鷺の野辺送り』。